8cmバックロード、フラミンゴIIの製作

オカルト岡本に依頼され、氏のステレオ用スピーカーを製作しました。

「小型で、ナチュラルな音質を持ったもの」というリクエストに、閃いたのが長岡鉄男氏の設計した「フラミンゴ」です。口径8cmというフルレンジでも最も小型のユニットを使用し、4畳半でも使えるスーパースワン型小型バックロードだったからです(スーパースワンは10cmフルレンジを使用)。製作にあたりホーン長を長めに取る為設計を変更したので、オリジナルとは違います。そこで今回の作品を「フラミンゴII」と勝手に名付けました。また長岡版では小型にするため、バックロードホーンのひろがり率を抑え目に取っていますが、永田版では、スーパースワンと同じひろがり率を確保しました。以下に製作をレポートします。

 

 

  木材パーツ。90cm×180cm(いわゆるサブ六)のシナ合板2枚をホームセンターでカットしてもらった。気が遠くなるほどいっぱいある…。



  釘は使わず、木工ボンドで圧着した。カットの誤差が必ず出るのでカンナで削る。会社から帰宅後暇を見つけての作業。それも楽しい。楽しむコツは一気に作業せずに毎日少しづつ行う事。



  4日後、下部、上部キャビネット完成。なかなかのものだ。



  下部キャビネット部を上から見る。音は中段の細い音道を通り、下段中央音道へ。そこから下段左右の音道に別れ、中段左右、上段左右の音道をを通って外へ放射される。



  上部と下部を接着。やはり設計が形になるのはうれしい。床接地面は3点支持とした。



  ヤスリがけ。結構大変。これをしないと仕上がりがまるで違う。2日程かかる



  ニス塗り。外見も良くなるし、汚れもつきにくくなるし、キャビネットも丈夫になるし、空気漏れも少なくなる。いいことずくめだ・・・。しかし面倒。1回塗って乾燥させた後、やすりがけ。これを3回繰り返す。この作業にも2日程かかる。



  ターミナルを取り付ける。高級品を使った。これをつけると高級スピーカーらしくなった。



  ユニットを取りつけて完成!。外見もなかなかモダンでかっこいい。さあ、音だしだ!



完成直後はしょぼい音だった。しかし2、3日でぐんぐん良くなった。やはりバックロードはエージングが必要だ。この作品のメリットは、なんと言っても、理想的な点音源スピーカーだという点だろう。何を聞いても、目の前に音像がピシッと定位する。実に心地よい。これは他のどんなスピーカーより優れている。また、フルレンジ一発使用のバックロードなので微小信号にも強く、小音量時の繊細な音は素晴らしい。中高音はユニットの良さが出て素直で明るい音質。ボーカルも生々しい。低音もかなり出る。ただ、このユニットは、もともとバックロードに向くほど磁気回路が強力ではないので、その点がデメリットとなってしまっている。低音に少し締まりがないのだ。気になるほどではないが。そこで、完成後、ユニットの後ろには鉛のインゴットを付けて、余計な振動を押さえてみた。またフレームには鳴き止めの為ブチルゴムを貼った。この対策で音質はクリアになったと思う。

オカルト岡本の感想 

1,印象

 見た目は、ハッキリ言えば世の中に市販されているスピーカーからすれば非常に変な形であること。永田の加工技術云々ではなく設計そのもがユニークすぎることにもよるが、見た目は美しくない非芸術的といえよう。次回作成時には、もっと色気のあるスピーカーにして欲しい。茶系色のニスを塗ったものを期待したい。

2,サイズ

もう2/3位コンパクトでれば言うこと無し。

3,音質

女性ボーカルを中心に聴く我が輩としては、音像の定位、音場感は申し分ない。全体のバランスを考えた場合、やはり低音域がダブついて聴こえる。更なる改善を望みたい。ただし、フルレンジでしか得られない良さは代え難いものがある。

4,今後の要望

TAD(Twin)モニターを越えるスピーカを造ってもらいたい。(冗談)ツイーターにだけローパスをかませ、ミッドレンジ及びウーハーには一切フィルターを通さない3ウェイスピーカーが欲しいね。(モアイ改良型でなるべくコンパクトがコンセプト)ただし重量を稼ぐのに絹袋に入ったササニシキインゴットを提案しておく。スペーサーは純銅100%でしょ。

5,総 合

私は、これで一応満足している。ただし、オーディオ熱が復活したら私は止まることを知らない鬼になるぞ。次回作を期待してフラミンゴで満足ーーーーー。

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