ロッカー永田のロックアルバム傑作選


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太陽と戦慄/キング・クリムゾン

第2期クリムゾンの1作目。その衝撃は、ビートルズの「アビーロード」を蹴落として全英1位に躍り出たファースト・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」の比ではない。 J.ミューアのアグレッシブなパーカッションに煽られるように、メンバーの気迫は既に最高潮だ。うねるリズムに絡みつくフリップのギター、垣間見せる秘教的雰囲気、 それらは軽々と西洋音楽の限界を突破し、我々に音楽の神秘を提示し続ける。どれほどの人間が、このアルバムで人生を変えられた事か! その後のクリムゾンを決定づけたという意味でも歴史的1枚。ジャケットも秀逸な1973年の作品。

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レッド/キング・クリムゾン

第2期クリムゾンのラスト・アルバム。全編を暗くヘビィな雰囲気が覆い、第2期クリムゾンのラストを厳かに締めくくる葬送曲とも言えよう。 「太陽と戦慄」では凄まじいインプロビゼーションを展開していた彼らが、「レッド」ではきっちりした曲を提示し、R.フリップ流の錬金術が成功したことを 密かに宣言しているようだ。あやしく光り輝く楽曲群を聞け!そして、ラストの「スターレス」に打ち震えるがいい。「永遠に神聖な暗黒」がここにはある・・・。 1975年の作品。

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ワンサイズフィッツオール/フランク・ザッパ

ロック畑にあって今世紀最大の巨匠の一人との呼び声高いザッパ。生涯に50枚以上の作品を発表し、そのどれもが、 一般の傑作といわれる作品をはるかに見下ろす高みにつけている。黒沢明、手塚治虫、等々、天才とはそういうものなのか。 しかし、そのザッパ作品の中にあっても、この作品の完成度はすごい。とろりとした粘着質のリズム、ツボをついたザッパのギター。やめられまへん。 まさに、「One Size Fits All」、すべての人にフィット!しかし、これがライブとは!の1975年作品。

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シークヤブーティ/フランク・ザッパ

ザッパの最高傑作。ザッパがエドガー・ヴァレーズ等の現代音楽に影響を受けた事は周知の事実だが、まさかヴァレーズの最も優れた後継者が、ロック畑から出るとは!ただただ圧巻の70分である。卓越した楽曲、ものすごい編集、そして間違いなく世界一の演奏技術、しかも秀逸なギャグ満載!ため息が出るばかりだ。宇宙人が「音楽とは何か?」と聞いたなら、私は迷わずこの作品を渡すだろう。「何これ?」などどぬかしたなら、即座に「波動砲発射!」だ! T.ボッジオ、E.ブリューらも参加し、またもやこれがライブとは!の1978年作品。



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アナザーグリーンワールド/ブライアン・イーノ

本当の静寂とは、無音ではないのである。私はそれを、イーノの音楽に出会って知った。それ以来ずっとイーノの音楽を追い続けているが、 やはり最後はこの作品に戻ってしまう。イーノの最大公約数的な作品といえるだろう。むろん、最高傑作。美しい音の結晶が絶妙なバランスでちりばめられている。 このアルバムなくして、細野晴臣、坂本龍一らの今はない。70年代前半でこのような作品を作るとは、本当に天才である。やはり、イーノはいーの。 R.フリップも参加の1975年作品。

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801ライブ/801

F.マンザネラ、イーノ、S.フィリップスらが参加した801プロジェクトのライブ盤。メンバーからしても”即買い”だが、期待以上の出来栄えだ。 なんだろう、このダイナミズムは?あくまで知的な演奏なのだが、素晴らしい迫力だ。イーノやマンザネラの作品もオリジナル以上のクオリティで収められている。 特にS.フィリップスの切れのいいドラムが素晴らしい。それにしても知名度の低い1975年の作品。

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フーズネクスト/ザ・フー

ビートルズ、ストーンズらと共にイギリス3大ロックバンドと称えられたザ・フー。彼らほどロックファン皆から愛されたバンドはないだろう。リーダーのP.タウンゼントは常にロック界のオピニオン・リーダーとして尊敬され、知性と野性が共存した微妙なバランスを持ったバンドは、不安定な少年時代を代弁し続け,多くのフォロワーを生み出した。本作は、そうした彼らの力が100%発揮された、1973年の貴重な作品。それにしても、ロック本来の魅力をここまで引き出したものは、他にないのではないか?ちなみに、彼らの代表作「トミー」はミュージカル化され、ブロードウェイでトニー賞を受賞した。

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狂気/ピンク・フロイド

ピンク・フロイドにはまったのは、高校生から大学1年にかけて。しかし、今では彼らの作品を聞く事はほとんどなくなってしまった。高校時代「長渕剛」を聞いていた後輩が「でも今じゃだまされている事に気づきました」と言っていたが、私のフロイドに対する思いもそんなところだ。ただ、長渕にしろフロイドにしろ、だましているつもりは全くないのであって、才能の限界からパターンにはまってしまっているに過ぎない。しかし、それにしても「狂気」は傑作である。歴史的1枚だ。実に念入りに作られた作品である。圧倒される事うけ合いの1973年作品。



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危機/イエス

テクニシャン揃いのイエスだが、この作品の演奏レベルは相当高い。まあコピーしようなどとは考えない事だ。大作主義が貫かれ、アルバムには3曲しか収録されていない。それで40分あまり聞かせてしまうのだからすごい。イントロの前衛的なギター・フレーズを初めて聞いた時は鳥肌が立ったものだ。美しいコーラス、緻密な演奏、壮大でオペラチックな構成・・・。限界ぎりぎりで成り立つ緊張感が、音楽欲を満足させる。これも1973年作品。しかし、1973年は、傑作が有り過ぎる!

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アマロック/マイク・オールドフィールド

マイクの最高傑作。一般的に、彼の代表作は「チュブラー・ベルズ」、「ハージェスト・リッジ」、「オマドーン」の初期3部作とされている。アイルランド・トラッドを基調に、様々なスタイルの音楽をミックスさせた壮大な交響詩が堪能できるこれら3部作は、確かに永遠に耀きつづける金字塔に違いない。その3部作発表後、精神を病んでしまったマイク。この「アマロック」は、長い闘病の末、1990年に発表された久々の大作である。「オマドーンU」というふれこみに、ファンは大喜び。しかし、聞いてがっかりする人も多かった。やすらぎのない、神経を逆撫でするような音楽がそこにあったからである。私も最初はそう思った。しかし、である。よく、聞きこんで欲しい。芸術は聞きこまないといけない。ここにあるのは、生命への賛歌である。15年もの闘病生活が、彼をここまで到達させたのだ。ロックやクラッシクなどのカテゴリーを越えて、ここにあるのは生命の音楽だ。最後のコーラスで、私はいつも涙ぐんでしまう。これこそ、本物の音楽のみが持ちえる永遠の力である。

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エイジャ/スティーリー・ダン

史上最もアルバム制作にエネルギーを注いだユニット、スティーリー・ダン。パーマネントなバンド形態を取らず、優秀なスタジオミュージシャンを集め、細心の注意を払って録音が行われた。N.Y.の高価なスタジオを1年間押え、何人もの腕利きギタリストを雇った結果、使ったのは1フレーズのみという逸話が残されている。彼らのアルバムは、他のものと同列に扱うのをためらうほど完成度が高い。「エイジャ」はその彼らの代表作。しっとりと聞かせるジャズテイストなアダルトサウンドだが、空恐ろしい程の完成度だ。特に表題曲「エイジャ」での、S.ガットのドラムはかつてない音だ。

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ニューヨーク/ルーリード

ロックというのは、日陰者が一瞬の光を受けて輝く極めてまれな瞬間を表現したもの、というのが僕の定義だ。そして、ルー・リードは、その定義にぴったりだ。自身もゲイであり、常にマイノリティに目を向け、彼らの悲哀を美しくハードに歌う。特定の都市を歌った傑作には、他に「ベルリン」があるが、「ニューヨーク」の方が渋くて僕は好きだ。バックバンドの力量も評価されてよい。余裕のある歌いっぷりが彼の大きさを物語る、1989年の作品。

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ロッターズ・クラブ/ハットフィールド・アンド・ザ・ノース

英ジャズロックの傑作。さらりとした洒脱な雰囲気が印象的だ。ジャケットも彼らの演奏を良く表わしている。これだ!という決め球を使わずにうまく調理され、「何が入っているか分からないけど、おいしいね、これ!」と耳の肥えたファンを唸らせる。惜しくも、このセカンドアルバムで解散。主要メンバーが結成したNational Helthも要チェック。

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シュリープ/ロバート・ワイアット

英ジャズロック界の大物・ロバート・ワイアットの最新作。ソフト・マシーンのドラマーとしてデビューし、 脱退後マッチング・モウル結成、交通事故で半身付随になり、共産党入党等々、彼の動きと共に英ジャズロックは動いていった。 そして、デビュー30年をむかえての、この新鮮な響き!1曲目で早くも”買い”マーク点燈。ソフト・マシーン、 マッチング・モール、ハットフィールド・アンド・ザ・ノース、など英カンタベリー系は一時期ジャズロック界を席巻したが、 今ではそのサウンドが聞けるのは彼の作品だけになってしまった。彼が描いたジャケットも素晴らしい、1997年の作品。

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スマイル/ブライアン・ウィルソン

いわずと知れたビーチボーイズのリーダ、ブライアン・ウィルソン。 過度な完璧主義がたたり、精神を病んで表舞台から遠ざかっていた彼が、 30年前の幻の企画「SMILE」を発表したのは、2004の音楽界にとって最大のニュースだった。 そしてその出来は期待を裏切らない素晴らしい物だった。何もいうことはない、SMILEの世界に身をゆだねよう・・・。 ライブを収録した DVD も必見!



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トロピカル・ダンディー/細野晴臣

日本が世界に誇る天才、細野晴臣。彼の傑作群の中でも、本作はその後のごった煮音楽志向が明確になったという点できわめて重要である。 この作品が世界に与えた影響は、YMOから、ワールドミュージック、環境音楽まで、イーノと双璧をなすといっても、言い過ぎではあるまい。 高橋幸弘をして、「細野晴臣は天才、坂本龍一は奇才、僕は凡才」と言わしめたのも納得の1枚だ。最近も森高をプロデュースするなど、ごった煮性は相変わらずだ。

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ナイアガラ・カレンダー/大滝詠一

細野晴臣と共に「はっぴいえんど」メンバーだった大滝詠一。解散後の活躍は細野に勝るとも劣らない。一連のナイアガラ作品は、今も日本のレコード史上に燦然と輝いている。本作品は、その中でも大滝自身これが売れなきゃ辞める」とまで言った1977年の傑作だ!深い叙情性と痛快なナイアガラ・ギャグ、日本のスティーリー・ダンとも言える凝った録音・・・。ところが、これが売れなかった。理由はナイアガラファンにしか分からないマニア性か。ガックシ大滝詠一は隠遁生活に・・・。

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ロング・バケイション/大滝詠一

文句なく、日本のレコード史上最高の傑作。メロディー、歌詞、ジャケット、演奏、そして大滝の歌声、そして相変わらずの凝った録音編集、どれをとっても完璧だ。むしろ、このアルバムを表わすために「完璧」という言葉が発明されたといってもいい。ガックシ大滝詠一、起死回生の1981年の作品だ!時流に乗らず売れなかった大滝が、時代を先取りした瞬間がここにある。だが、大滝は周囲の期待をよそに次作「EACH TIME」以後は弟子の山下達郎に後を託し、またもや隠遁生活に・・・。そして、17年後、彼は思い出したように「幸福な結末」を我々にプレゼントしてくれた。

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黒船/サディスティック・ミカ・バンド

初めて海外進出を果たしたバンドである。あのイーノがいたロキシー・ミュージックと共に全英ツアーを敢行し人気最高潮にあった頃の作品がこれだ。若い。ひたすら、情熱がほとばしる。高橋幸弘のドラムは完成されているし、高中正義のギターは、はっきり言ってロキシーのF.マンザネラを凌駕したはず。本物の演奏が堪能できる1枚だ。「タイムマシンにお願い」、「塀までひとっとび」等彼らのヒット曲のほとんどが収録されている。

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虹色のあわ/ZELDA

80年代から90年代にかけて、孤高のガールズバンドだったZELDA。 ポップな感性と前衛的な音楽性が絶妙なバランスで同居していたところが彼女達の最大の魅力。歌詞もとても素晴らしい。 私は、彼女達が手探りで模索してきた音楽の旅を、ある時は歓迎し、ある時は違和感を持ちながら追体験してきた。

そして、これは彼女達のラストアルバムである。 リーダーのさちほが、最高傑作と断言するだけあって、本作は文句のつけようがない傑作に仕上がっており、女性らしい瑞々しい感性と、重厚なアンサンブルが、聴く者を無条件に幸福にさせてくれる。 彼女達の音楽の旅の終着駅の、なんと崇高なことだろう! 女性にこそ、聴いてほしい。きっと生きる元気をもらえることだろう。 初期の傑作、 空色帽子の日 も必聴。



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